法定通貨としてビットコインを導入したエルサルバドルはどうなっているのか

初心者を狙う罠

中南米における最貧国のひとつ、エルサルバドルは、2021年9月7日に世界で初めてビットコインを法定通貨に採用しました。1年後の2022年現在、エルサルバドルはどうなっているのでしょうか。今後のビットコイン相場への影響についてもあわせて考察します。


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エルサルバドル政府の着目点

エルサルバドルでは、投資と事業活動の活性化を目的にして、2001年から米ドルを法定通貨として導入していますが、ドルに加えてビットコインも法定通貨としての利用が認められるようになりました。
ビットコインの法定通貨化に注目が集まっていますが、正確にいえば、ドルとビットコインのどちらでも国内決済が可能になったわけです。

銀行口座をもつ人が少ない

エルサルバドルは、銀行口座を持つことができない貧困層の割合が非常に高いという現状があります。ビットコインやデジタルウォレットの導入は、銀行口座を持たない国民に従来の金融サービスに代わる金融サービスにアクセスする効果をもたらすと考えられたのです。

海外からの送金の効率化

ビットコインには仲介する組織が存在せず、海外からの送金に手数料がかからないというメリットがあります。エルサルバドルのGDPに占める海外からの送金の割合は(20%)を超えるため、ビットコインの利用による手数料削減は大変魅力的でした。

ビットコイン暴落の影響

エルサルバドルはいくらでビットコインを買ったのか

エルサルバドル政府は、法定通貨として導入するために、2021年9月以降ビットコインを購入しています。当初購入額は約1億390万ドル(2301BTC)といわれ、その後、数次にわたって購入を続けています。直近では2022年上期に、1BTCあたり1万9000ドルで80BTC購入したということです。

目減りする資産価値と景気低迷

エルサルバドルが法定通貨とした後、ビットコイン価格は史上最高値の68,789ドルを記録しますが、その後価格は暴落し、2022年11月現在では4500万ドルまで下落しています。景気低迷からエルサルバドルの財政リスクは高まっていて、2023年と25年に期限を迎える16億ドルの国債については、償還資金の手当てが難航しているといわれています。

ビットコイン導入はすすんでいるか

エルサルバドル政府は、あの手この手で、ビットコインの定着と資産価値の向上に挑戦していますが、その前途は明るいものとはいえないようです。

ビットコインシティ計画の頓挫

ブケレ大統領は、エルサルバドル東部のコンチャグア火山に近い場所に戦略都市「ビットコインシティ」の建設計画を打ち出しました。空港や居住区、商業地区などを備える都市構想です。
しかし、建設予定地は深いジャングルに覆われたままの状態で、建設費を賄うために計画された「ビットコイン債(火山トークン)」の発行は、ビットコイン暴落などを受けて延期されています。

ビットコインに連動する国債発行

火山トークン発行と同時に、エルサルバドルはビットコインに連動した国債を導入する予定でしたが、こちらも計画が遅れています。ビットコインの価格変動が大きすぎる点をIMF(国際通貨基金)が不安視していることが大きな要因だとされています。

ビットコインは普及していない

エルサルバドル政府はビットコイン専用スマートフォンアプリ「チボ」を発行しました。チボをダウンロードすると、利用促進のために30ドル相当のビットコインが無料配布されるのですが、発行後も継続してアプリを利用しているのは導入1年後時点で、わずか20%に過ぎません。
また、全ての国内企業にビットコイン決済の受け入れを法律で義務付けているのですが、実際に導入している企業も、わずかな割合に留まっています。個人や企業レベルでも、ビットコインの流通がなかなか定着していないのが現実です。

エルサルバドルの状況がビットコインに及ぼす影響

世界経済のドルへの依存

世界各国がポストコロナのインフレへの対処に苦慮しているなか、世界経済はますますドルへの依存を深めています。
このような状況下においても、エルサルバドルではビットコインへの傾倒により、伝統的な金融市場へのアクセスが制限されているわけですから、今後ますます資金調達が厳しくなる危険性を孕んでいるというのが多くの評論家の見解です。

IMFの動き

エルサルバドル政府は火山トークンを10億ドル発行する計画を表明していますが、IMFはビットコイン債による海外からの資金調達の動きを憂慮しています。IMFは、エルサルバドル政府に対して、ビットコインの法定通貨化を取り消すよう求めていますが、あくまでもアドバイスに過ぎず、法的拘束力はありません。

エルサルバドルとビットコイン

国家による博打

エルサルバドル政府の行動を個人レベルに当てはめてみると、借金をしてビットコインに投資しているのと何ら変わりません。国家レベルに話を戻せば、ビットコイン価格の暴落が意味するものは、国民資産の毀損だといえるでしょう。
普通に考えれば、国民の怒りは政府に向けられるはずですが、その様子はありません。ブケレ大統領に対する国民の盤石な支持があるからです。

実際にはビットコイン暴落には大きなインパクトはない

しかし、冷静になって検証してみると、実態は大きく異なって見えてきます。エルサルバドル政府が保有するビットコインの含み損は1500万ドル程度になると考えられます(レートを36000ドルの場合)が、これはエルサルバドルのGDPの(1%)以下に過ぎず、ほとんど影響がないほどの金額です。さらに、並行してドルも法定通貨として流通しているわけですから、ドル高の恩恵も受けていることも無視できません。
実際には、ビットコイン暴落はエルサルバドル経済に大きな影響を及ぼしているわけではないのです。

風評被害に注意すべし

ビットコイン価格は、株式市場、とくにハイテク株価格と密接に連動しています。したがって、中期的には価格の回復は厳しいかもしれません。これはある意味、不可避な現象です。気になるのは、ビットコインの暴落とエルサルバドル経済の低迷を結びつけて考えられる可能性です。エルサルバドル経済は、ビットコイン導入とは関係なく低迷しているのです。
スキャンダルな報道も一部で目立つようになっていますが、エルサルバドルにおけるビットコインは世界レベルでは、ごく小さなボリュームです。投資家としては市場を冷静に見守るべきでしょう。どの金融商品にも共通していえることですが、一番恐ろしいのは、風評被害ということになるのです。


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FX超初心者専科 猫道場 道場主H

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