「コロナ・パニック」が続くなかで、長く続いた為替相場の小動きが一転、大荒れの展開になっています。とりわけ急速な円安トレンドは、FX投資家にとっての最大の注目ポイントです。
今後も波乱が予想される為替相場にあって、初心者トレーダーのとりうる対策にはどのようなものがあるでしょうか。今回は、過去における為替相場の急変の代表格である、2008年リーマンショック後の為替の動きを参考にしながら、「相場急変時の心構え」を考えてみましょう。
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リーマンショックで何が起こったのか
事態を楽観視していた投資家
リーマンショック前の段階には欧州系銀行における金融不安があり、その後、米系中堅の金融機関にも飛び火するなど、2008年9月のリーマンショックまでの間には、相場急変のピークがいくつかみられたわけですが、それらのトピックスが落ち着くと相場は収まっていきました。リーマンの危機が見えてきた段階でも、最終的にはリーマンへの救済策が出るだろうと考えていた投資家が多く、おおむね皆楽観的だったのです。
このような背景があり、いざリーマンが破綻すると、その後の相場は長くマイナスの影響を受けることになりました。
為替におけるボラティリティの拡大
リーマンショックを受けて、通貨のボラティリティ(価格の変動幅)は一斉に急騰しました。たとえば、リーマン以前の(ドル/円)のボラティリティは(5%)程度でしたが、2008年10月には一気に3倍(15%)にも急騰しました。それ以外の通貨ペアでは、さらにボラティリティが拡大しています。
リーマンショックが生んだレバレッジ25倍制限
日本の金融庁はFXのレバレッジ上限を、2010年には50倍に、そして2011年には25倍とへと段階的に引き下げました。そのきっかけとなったのが、リーマンショック後の為替相場のボラティリティ急騰でした。
為替相場は、株式相場と比べても基本的にボラティリティが低いため、レバレッジによって資金効率を高くすることが認められていました。しかし、その前提条件である「低ボラティリティ」が成立しなくなり、リスクが格段に大きくなったことで、金融庁は方針転換を余儀なくされました。消費者保護のための施策として、レバレッジ規制の強化という流れになったわけです。
相場混乱時代の投資方法とは
現在は、コロナパンデミックとロシアによるウクライナ侵攻のダブルパンチにより、世界経済が混乱を極めています。かろうじて為替相場の破綻には及んでいませんが、影響が長引けば、国家破綻をきたす中産国も出てくる恐れがあります。
このような状況下で、トレーダーはどのような対策を準備しておくべきでしょうか。
レバレッジを抑える
行き先の読めない相場で大きな賭けに挑むのは上策ではありません。したがって、これまでよりも一層、リスクヘッジを厚くするのが上策です。レバレッジを通常より低めにしてリスク許容度を低くすることが最大の対策になります。
ボラティリティの低い主要通貨にシフトする
過去の相場激変時においても、通貨によってボラティリティは異なりました。リーマンショックの場合、(ドル/円)ボラティリティは(15%)に急騰しましたが、(豪ドル/円)の場合は、(45%)まで跳ね上がりました。
基本的に(ドル/円)よりも、クロス円(米ドル以外の外貨と円の取引)の方がボラティリティは高くなり、リスク資産と位置付けられる高金利のマイナー通貨の場合は、さらに高くなります。ボラティリティ急騰局面でマイナー通貨にチャレンジすることは避け、流動性の豊富な(ドル/円)などの主要通貨ペアへと資金をシフトするのがベターな選択です。
損切りを決断する
相場急変の場面で損失を最小限に食い止めるためには、損切りを入れて損失を限定的にとどめるのは重要な対応です。とくに高金利通貨の場合は、一旦値下がりすると、その後の反発でも元の水準まで戻らない可能性が高まるため、キズの浅い段階での損切りの決断が求められます。
そもそもボラティリティの高い相場には入らない
トレードは毎日やらなければならないものではありません。とくに初心者の場合、相場が大きく動く展開ではあえてエントリーせず、勉強期間ととらえて、しばらくチャートを観察するのもいいでしょう。ボラティリティの高まりは相場急変の前兆です。精度の低い参入を控える落ち着きが必要です。
ポストコロナ時代に起こること
影響は数年レベルで長期化する
コロナパンデミックは終息に向かうような素振りをみせながらも、なかなか不安は払しょくされません。ロシアによるウクライナ侵攻も、年レベルでの長期化が予想されています。これらの事象が及ぼす為替への影響は間違いなく長期化します。まずは、このことを知っておきましょう。
レバレッジルール変更の可能性はあるか
昨今の為替のボラティリティの拡大は、国内のFXのレバレッジをさらに10倍程度に抑制する方向に導く可能性があり、FXの魅力を大きく損なう規制には憂慮を覚えます。
そのほか、前述のように、通貨のボラティリティに大きな差があるという問題があります。「通貨ペアのレバレッジは均一でいいのか」という議論の行方についても、目が離せないところではあります。
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